国際女性デー限定対談公開中
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国際女性デーに寄せて、スタイリスト・ファッションディレクターの風間ゆみえさんと、ファッションエディターの東原妙子さんによる特別対談が実現。それぞれの分野で長く信頼を築き、自分のスタイルを更新し続けてきたお二人に、人生の転機や大切にしてきた価値観、そして日々の装いについてお話を聞きました。
インタビューの中で投げかけられたのは、「正解のない時代に、どう自分らしく選んでいくか」という問い。選択肢が増えた今、何を基準に選び、どう自分の軸を保っていくのか。迷いながらも自分の感覚を信じて歩んできたお二人の言葉から、そのヒントを探ります。
経験を重ねてきたお二人の言葉から見えてきたのは、スタイルとは一朝一夕に生まれるものではなく、日々の選択や感覚の積み重ねによって育まれていくものだということ。そのしなやかな対話をお届けします。
写真左:風間ゆみえさん(スタイリスト・ファッションディレクター)
写真右:東原妙子さん(ファッションエディター)
風間さん
いまは、価値観が本当に多様になりましたよね。昔は流行が何かひとつあって、みんながそれに乗る文化があった。でも今は選択肢が無数にある。だからこそ自分で選ばなければいけない時代だと思います。自由である一方で、「何を選べばいいのか分からない」と戸惑う人もいるかもしれない。正解が欲しくなる気持ちも分かる。でも本当の正解は世の中にあるのではなくて、自分の中にしかないんですよね。
東原さん
そうそう。たとえば結婚や出産とか、ライフステージを比べてしまう人もいると思います。でも他人から見て幸せそうでも、自分の中で納得できていなければ意味がない。いろんな自分を認めて、それを正解にしていくマインドが大事なんだと思います。
風間さん
そうだよね。人と比べるよりも、「私はこう思う」でいい。それが賢く豊かに生きるコツ。強くなることよりも、自分の軸を持つこと。周囲の価値観に振り回されやすい時代だからこそ、自分の正解を自分で導き出すことが一番だと思います。
東原さん
私は25歳まで銀行員で、その後出版社に転職して編集者になりました。でも将来こうなりたいから逆算して動く、というタイプではないんです。銀行に就職したのも、「女が働くものじゃない」という古い考えの親から唯一許された職場だったから。そんな消極的な理由で選んだ職場でしたが、その時々の環境を楽しめるタイプでもあるので、当時は銀行で楽しくやれていました。そんな中で編集の仕事に声をかけていただき、週末は雑誌の仕事を手伝うようになって。銀行員より編集者の方が自分の特性を生かせると思い、転職することにしたんです。結局、なりたい将来像が明確にあってそれに向かって頑張るというより、与えられた環境の中で一生懸命やる。その積み重ねで流れに乗ってきた感覚です。今も正直、「こうなりたい」という明確な未来図はあまりないんですよ。
風間さん
分かります。私も未来を細かく描いていたわけではなくて、睡眠時間もまともに取れないほど忙しくしていたので、毎日をこなすのに精一杯でした(笑)。
スタイリストという仕事は、結果的に気質に合っていたのだと思います。合っていなければ、きっと続けてこられなかったでしょうね。かなり過酷な仕事なので。
20代の頃は、50代になったら何でも分かる大人になっているんだろうなと思っていました。でも実際は、根っこの部分はそんなに変わらないんですよね(笑)。
ただ、生き方は確実に上手になりました。無理をしなくなったし、少し穏やかになった。今の方がずっと生きやすいなと思います。
東原さん
若い頃は選択肢が多すぎて迷いますよね。でも経験を重ねると、自分の得意なことや合わないことが分かってくる。直感も磨かれてくる。いい意味で選択肢が絞られるから、逆に楽になる感覚があります。
風間さん
昔は「これが流行り」と示される時代でしたよね。でも今は、それぞれの感性がそのままスタイルになる。流行は、どこかにあるものというより、一人ひとりの中に宿るものになった気がします。思い描いていた未来ではなかったけれど、時代も、自分も、静かに更新されてきたのだと思います。
東原さん
やっぱり転職ですね。銀行員から編集者へ、真逆の世界でした。ルールに縛られた世界から解放されて、自分の社会的な性質や、得意・不得意なことがはっきりした。銀行員の頃は仕事とプライベートで別の人格を求められる環境だったけれど、転職後は公私の差がなくなりました。
今はプライベートでも仕事のことを自然に考えてしまうけれど、それも含めて自分。自然体でいられるようになったことが大きいです。
風間さん
私は三つあって。一つ目はスタイリストの道に入ったこと。気づけば30年以上続いています。
二つ目は39歳での結婚。結婚して初めて“土日”を手に入れたんです。金曜の夜に「明日休みだ!」ってかなりはしゃいでいました(笑)。それは私にとって、本当に人生最高のギフトでしたね。そして三つ目が離婚。結婚しているときは、自分では「いい妻だ」と思っていたので(笑)。でも振り返ると、好きなことばかりしていて、相手にきちんと寄り添えていなかったなと。気がついたら、基本的に自分軸だったんですよね。
そのことに気づけたのは、大きな転機というか、本当に気づけてよかったなと思っています。
東原さん
そうやって前向きに受け止められるゆみえさんは本当にすごい。正解がない時代だからこそ、自分で選び、自分で気づき、自分で納得していく。その積み重ねが、自分だけの正解になっていくのかもしれないですね。
東原さん
私は、迷っている時って「まだ決めたくない時」なんだろうなと思うんです。たとえば転職のような大きな選択でも、迷う余地があるということは、まだ早まるタイミングじゃないのかなって。だから、迷っているうちは無理に決断しない。いったん考えるのをやめることもあります。
本当に自分が「やりたい」「もう我慢できない」と思った時は、自然と動くはずなんですよね。無理に決めようとすると、「あっちにすればよかったかな」と後悔が残る。でも、自分の気持ちがはっきりした時に選んだことは、あまり後悔がない。だから私は、迷っているうちは動かないタイプかもしれません。
風間さん
大きな決断をしてきた感覚は、実はあまりないんです。「よし、これやるぞ!」みたいなことって、そんなに多くなくて。年に一度のボディメンテナンスプログラムくらいかな。気合いを入れて「1ヶ月頑張るぞ」と決めるのは、自分の意思ですね。やっぱり体が基本だから。どこか不調だとネガティブになるし、笑えなくなる。いつまでも若々しく、健やかに生きていくためには体のケアが大事だと思っています。その意味では、自分で決めるという感覚は強いかもしれません。
東洋医学や自然学を学んでいるので、自然の流れには敏感な方だと思います。直感は昔から鋭い方で、若い頃はそれで嫌な思いをすることもありました。でも今は、それも自分の能力だと思えるようになりました。直感に感謝して、それを活かしていく。結局、最後は自分の感覚ですね。
風間さん
笑顔がいい時ですね。朝、鏡を見て顔が暗いと感じたら、一度ベッドに戻ってやり直すんです(笑)。口角を上げて、もう一回「おはよう」をやり直す。笑っている筋肉を脳が察知して、「幸福だ」と認識するって言いますよね。だから、まずは笑顔でいることが大事だと思っています。
東原さん
ゆみえさんって、ドラマチックですよね!でも、そういうマインドが若々しさにつながっているんだと思う。
私は正直、人並みにできないことが多くて。物もよくなくすし、掃除も得意じゃないし、自己嫌悪に陥る瞬間が1日に何度もあります。若い頃は「人に迷惑をかけている」という意識が強くて、自己肯定感も低かった。何十年も治そうと努力してきたけれど難しくて、でもずっとそれで落ち込んでいたら何もできない。
だから、ないものは仕方がないと受け入れて、得意なことを活かすようにしています。自分が頑張ったことで周りの人や誰かが喜んでくれた瞬間に、「この方向なら役に立てるんだ」と感じられる。その時は、まあいいか、自分でいいか、と思えます。
風間さん
落ち込む瞬間は誰にでもあるよね。でも結局、コントロールしているのは脳。だからこそ、笑顔でいることはすごく大事。顔の筋肉が心にも影響する。ちゃんと笑えている自分でいることが、何よりの肯定なんじゃないかなと思います。
東原さん
うんうん。あとは年齢を重ねていくうちに、どこかで諦める瞬間もあるんだと思う(笑)。良い意味で、完璧じゃなくていいやって。
風間さん
じゃあ私も、いつか朝そのままの顔で起きるようになっていくのかな(笑)。
東原さん
ゆみえさんはそこはならないと思います!そこは諦めないでください(笑)。
風間さん
シーズンビジュアルでご一緒するようになってから、アクセサリーの楽しみ方が変わりました。年齢的にもこれまではジュエリーが中心だったんです。でも、華やかなファッションアクセサリーって、ひとつつけるだけでお洋服の印象ががらっと変わる!ジュエリーで同じことをしようと思うと大変だけど、ファッションアクセサリーなら気軽に楽しめるんですよね。いまは、ステラのアクセサリーがずいぶん増えたので、ステラポーチ作りました(笑)色々なシチュエーションに対応できる素敵なラインナップになっているのよ♡
東原さん
そうそう、分かります。私もいわゆるハイジュエリーへの興味が、以前より強くなくなりました。若い頃は、アイコニックなブランドのものを身につけることに意味を感じていた時期もあったけれど、今はそうじゃなくていい。
値段やブランドではなく、「自分がつけたいかどうか」。アクセサリーの中から、自分に似合うものを選び取れるようになった感覚があります。こういう華やかなアクセサリーも本当に可愛いなと思うし、もっと自由に楽しめるようになりました。
風間さん
私も最近アクセサリーを着けていて、すごく褒められることも多くて。ハイジュエリーをつける日もあれば、アクセサリーの日もある。ルールを決めるんじゃなくて、その日の自分に合わせて選ぶ感じですね。
風間さん
意外と、大人になってからかもしれません。50歳を過ぎてからというか、STELLAR
HOLLYWOODさんとご一緒するようになってからかな。以前はジュエリー派で、アクセサリーをあまりつけてこなかった。でも実際に取り入れてみたら、すごく楽しい!
服装がシンプルなことが多いからこそ、何かひとつつけるとスタイリングが決まる。しかも価格も手に取りやすい。それも魅力ですよね。
東原さん
実際につけていると、すごく褒められますよね!
風間さん
そうそう。たえちゃんは今回STELLAR HOLLYWOODさんとコラボもされますよね。
東原さん
はい、よろしくお願いします!イヤリング派の方も多いと聞いて、私もピアスを開けていないので、イヤリング展開があるのは本当にありがたい。イヤリングの人にも楽しんでもらえるものをつくれたらと思っています。
風間さん
たえちゃんは編集者だけど、本当にマルチ。洋服づくりも上手だし、女性像をきちんと描ける人。だから今回のコラボも楽しみです。
東原さん
ありがとうございます。やっぱり「こういう女性に、こういう気持ちで身につけてほしい」というイメージを大切にしながらつくっています。アクセサリーでのコラボは久しぶりなので、私自身もとても楽しみにしています。
東原さん
同じ服でも、アクセサリーで印象は大きく変わりますよね。フォーマルな場なら華やかなものを選ぶし、カジュアルに寄せるならデイリーなものにする。服がシンプルな分、最後の方向性を決めるのがアクセサリー。
今日はフェミニンにいきたいのか、少しクールにしたいのか。チェーンを足せばモードになるし、大ぶりならドレスアップ感が出る。その“女性像”を最後に決める感覚で選ぶことが多いです。
風間さん
私は、その日のモチベーションかな。今日はナチュラルにいきたいのか、ちょっと盛りたいのか。シンプルなリングだけで決めたい日もあれば、華やかに重ねたい日もある。
フォーマルとカジュアルを分けることもあまりなくて、どのジュエリーも両方に使う。アクセサリーって、決めすぎない方が楽しいですよね。
東原さん
うん、服とのバランスとかで考えますよね。私は仕事の日はつけることが多いですね。なんとなく気持ちが整う。オフの日はつけないこともあるけれど、メイクをしたら自然と手に取りますね。
風間さん
やっぱりアクセサリーをつけるとちゃんと“決まる”よね。
風間さん
ずっと変わらない自分もいるけれど、それでも日々少しずつ積み重ねてきたものがあるんだなと、改めて感じました。
東原さん
たしかに。若い頃はもっといろいろあったなと思うけれど、変わっていないようで、ちゃんと積み重ねてきている。今日話していて、そんな実感がありました。
風間さん
そうね、生きることが、少しずつ上手になってきたのかなと思える、今日この頃です。そんな年齢になったのかもしれませんね(笑)。
東原 妙子/Taeko Higashihara
大学卒業後、銀行に就職、25 歳で編集者に転身。
現在は数多くの女性誌を中心に、広告やカタログのディレクションを手掛ける。
2020年春にデビューしたECブランド〈uncrave〉では、2024年秋冬シーズンまでクリエイティブディレクターを務めるなど、アパレルブランドのバイイングやコラボ商品の開発を通じて、編集者の枠を超えた活動を行っている。
風間ゆみえ/Yumie Kazama
ファッションディレクター/植物療法士。
女性誌を中心に長年スタイリストとして活動し、独自の美意識と審美眼で支持を集める。現在はその経験を軸に、ライフスタイル&ウェルネス分野へ活動を拡張。企業コンサルティングや商品・空間の企画プロデュースも手がける。
植物療法、東洋医学、生理解剖学を横断しながら、女性のライフパフォーマンスを高めるための統合的メソッドを提案。感性と理論を往復する独自のアプローチを軸に活動している。
東原さん
本当にそうですよね。私たちみたいに「自由でいい」と思う人もいれば、そうじゃない人もいる。いろんな生き方があっていいという空気は、今の時代ならではだと思います。人と同じでもいいし、違ってもいい。大切なのは、自分が一番心地よい場所にいられること。他人と比べるのではなく、「他人は他人、自分は自分」と思える関係性の中にいると、とても楽なんです。