モデルやインフルエンサーとして活躍しているおふたりですが、元々日本と韓国で生活していたと思うのだけど、どうしてモデルをすることになったのかな？

僕の場合は大学４年生で就職活動しているときに、「自分は何に向いているのか、何がやりたいのか」って自己分析をすることがあって、パリコレモデルを目指すことにしました。もちろん身長にはたまたま恵まれているっていうこともあったんですが。当時の自分って、日々自分が成長する姿に喜びを感じていて。その究極ってなんだろうって考えたとき、パリコレかなと。あの舞台に立つ人たちってものすごく努力しているんだろ～なって思ったんです。自分の声で発するわけでなく、ただ歩くだけで仕事にしちゃうって、すごくかっこいいなと。それでそこを目指していこうと決めました。

パリコレは世界中のランウェイモデルの憧れの頂点だもんね。ノアくんはどう？

ドイツに住んでいた時期があって、その時にオーディションを受けたりしてまずバイトのような感じで始めました。その後韓国に戻ってTaikiと出会って。モデルの道に挑戦してみたら？って薦められたことから、本格的に始めた感じです。

男性モデルは、女性モデルよりも仕事の幅が狭くて大変だよね。そんな中でもモデルを続けていく楽しみは、どういう場面で感じるのかしら？

モデルだけで食べていくのは、当時は難しくて。今はインフルエンサー的な仕事も含めたくさんあると思うんですが。そのときはひとつのランウェイに、アジア人ひとりいればいいかなという感じで。でもそこにいられることに、やりがいを感じましたね。

出会ったときにはTaikiがもうモデルとして活躍していて、僕もトライしてみたらどうかって提案してくれて。自分はそれに乗っかることができてラッキーだったなと。

ふむふむ、ではふたりが出会ったキッカケは？

僕が仕事で韓国に行ったときに、何回か偶然会うことがあったりして。それから惹かれあうようになりましたね。で、出会ってもう１か月後には、Noahは荷物をまとめて日本に来ることになって、ですね。

そう、僕はドイツから帰ってきて、次はどの国に行こうかとちょうど思っていたところで。日本は候補ではなかったけれど、Taikiもいるし、じゃ行こうってなって。もう日本に住んで７年になりました。

日本に来て７年ってことは、付き合っても７年ね。ふたりはお付き合いをオープンにしているけど、やはり欧米に比べて、まだまだLGBTQに対してそこまで進んでいない日本で大変なことはあったりする？

日本と韓国にはビザがあって、パートナーシップ制度では配偶者ビザがおりるわけでなく。一緒にはいられるんですけど、実は壁があるなと。

そうなんです、同姓婚の場合は難しいです。

そこで、僕が独立して自分で事務所を立ち上げました。そうすると自分の会社からNoahにビザを発行することができるので。自分の会社をつくるのはもっと先でもいいかなと思ってたんですが、誰かにビザを出してもらうとか、人に頼るのは嫌だったので。

ビザは1番の問題点でもあるよね。国と国との問題はともかくいわゆる世間の風当たりはあったりとかした？　

いや、それは全くなかったです。

あまりにも隠さずオープンすぎたからかな～。​

日本もだいぶ昔に比べると変わってきているものね。じゃ韓国はどう？

韓国はまだちょっと厳しいですね。宗教上からも理解がない人が多くて。でも少しづつは理解されてきている気はします。

早く進むといいよね。それはそう、とふたりは喧嘩するの？​

もちろんします、します。​

どんなことで？文化の違いとか？

いや、そういうのではなく、些細なことです。でも付き合って最初の頃よりは全然しないです。

僕たちの場合、仕事もプライベートもほぼ一緒なので。個人の時間のほうが少なくて。会社をつくってからやっと別行動するようになって。​

だね、仕事もプライベートもずっと一緒だったことで、もう20年以上一緒にいる気がします（笑）。なんで自分も韓国の友達と旅行に行ったり、遊びに出かけたりしています。​

７年も一緒だと自分自身の時間を作って、お互い楽しむのがいいよね。もうほぼ家族と同じような感覚だものね。

ほんとにそうです。

自分の『性』について、まだまだ声に出して言えずに悩んでいる人も大勢いると思いますが、ふたりから、そんな人たちにメッセージをお願いします。

カミングアウトする、しないは個人の自由だと思うんです。ただカミングアウトするのを恐れていたり、怖いと思うのはもったいないなと。もちろんそれは十分理解できるんだけど、することで世界が広がる気がします。自分の場合は、カミングアウトしてから世界が何倍にも広がりました​

自分はゲイであることをあまり悩んだことがなくて。周りがどう見ているか気にするより、自分が毎日幸せに過ごして、人生を楽しむのがいいと思う。

今は全くそんなことはないけど、昔はゲイだからって仕事がもらえないことも。男らしいブランドに合っていないって理由から。​

ふたりの活躍を目の前で見ていると、男性ファッションや美容の多様性の現状を感じます。

昔よりファッションは、かなり自由になりましたよね。自分が着たいものを着て、思いきり自由に楽しめればいいなと。

男女関わらず美容に関しては韓国は進化を続けているよね。

そうそう、特にネイルとか。メンズでやる人もわりと多くなっているし。

表現力が出せる人っていいなと思う。発想力が豊かだとおしゃれにも幅が出るよね。そして最後の質問です。『さまざまな愛のカタチ』がこの対談のテーマのひとつなんですが、ふたりが思う愛について教えてください。

やはり人と人の支え合いが一番大事だなと。やはり人は、ひとりでは生きていけないから…。Noahにないものを僕が持っていたり、その逆で僕にないものをNoahが持っていたり。それをお互い出しあっていけばいいんじゃないかなと思っています。

相手のことを理解すること、また妥協することもそうなんじゃないかな。結局相手の性格は簡単には変わらないから、こういう人なんだと諦めてそれを受け入れて対処してることが大事だなと。​

うんうん、相手を理解しようとしたり、相手に思いやりをもつ事は『愛』だよね。ボーイズカップルだけじゃなく、男女間の恋愛や家族愛にも大切な事だと思う。『愛のカタチ』は色々あるけど、『思いやり』は共通する合言葉な気もします。